ひと時の休息に「エッセイ」をご用意致しました。


菊(一般的な花)
 日本の国花は桜と菊。国鳥はキジです。みなさん知っていましたか?

菊は春のサクラに対して日本の秋を象徴する花ですが、これを決定付けたのは鎌倉時代の初め、後鳥羽上皇が「菊紋」を皇室の家紋としてからです。花言葉は「高貴」です。余談ですが、九州の豪族菊池氏も家紋に「菊花」もしくは「菊葉」を使用しているんですね。

ところで、鑑賞用には大輪が有名な和菊、園芸用に作られているのは洋菊が中心です。また、切花としては温室で電照栽培が行われており周年出荷されています。バラ、カーネーションとともに生産高が多い花です。

平安時代は、薬草や観賞用植物として用いられ、宮中では菊の節句とも呼ばれる重陽の節句(旧暦9月9日)が明治時代まで行われ、現在でも皇室園遊会(観菊御宴)として行われています。
 日本で菊の栽培が盛んになったのは、冬に芽をとり、春に植え、夏に成長させ、秋に観賞するといった栽培方法が、イネの栽培と類似していることが影響しているようです。現在では各地に愛好会ができる一方で、秋にはそれらが主催の品評会が全国で開かれています。

 菊の栽培が飛躍的に進んだのは江戸時代で、特に元禄期(17世紀末)以降になってからです。その後「菊合わせ」と呼ばれる品評会が行われ、新品種の開発が進みました。おもな地域として、江戸、伊勢、京都、熊本などでは、それぞれ独自の品種や系統が生まれました。

このように書いていくと菊は高貴で高い金額の植物・・・のように感じられてしまいますが、あくまで観賞用としてや品評会用として作られたものだけであり、これらを除けば、一般的なものはお墓参りや花瓶などに飾られる安価なものが多数を占めています。
可憐な野菊などは秋の風情を感じられ、親しみやすい花ではありませんか!