カボチャ ひと時の休息に「エッセイ」をご用意致しました。


西洋カボチャ(栗カボチャ)
 日本でカボチャを英訳してと言うと、たいていの人が「パンプキン」と答えてくれるようですが、これは間違いです。
また、日本由来のかぼちゃは、今ではあまり食べられていません。何故でしょう? 答えは簡単で、日本のカボチャより西洋カボチャの方が天麩羅などにすると甘くて美味しいからです。

ところで、カボチャと言えばハロウィンと言うほど今ではポピュラーな存在のカボチャとハロウィンですが、元々は、古代ケルト人が行っていた秋の収穫祭や悪魔祓いの儀式であり、その発祥はアイルランドやスコットランドだとされています。 やがてこの儀式に、キリスト教の万聖節が結びつき、ハロウィンとなりました。

当初、秋の収穫や悪魔祓いの儀式として行われていたものはカボチャではなくカブを使っていました。しかし、ハロウィンがアメリカに伝わった際に当時のアメリカはカブに余り馴染みがなく、代わりにたくさん獲れていたカボチャ(パンプキン)を使うようになったのです。
 そして、このアメリカ式が世界中に広まったため、ハロウィン=カボチャ(パンプキン)という認識になったと言われています。
 また、ハロウィンは11月1日に行われるキリスト教の万聖節「All Hallows」の前夜祭、つまりはAll Hallows’Eveであることからハロウィンはこの10月31日のみを指します。
 今では、ハロウィンといえば、やっぱりカボチャですね、この時期あちこちで「パンプキン」の文字が躍っています。しかし実は、日本のカボチャのほとんどはパンプキンではありません。いったいどういうことなのでしょうか。
 実は、カボチャには大きく分けて西洋カボチャ、日本カボチャ、ペポカボチャの3つがあります。米国では熟したオレンジ色の果皮のペポカボチャのことを、パンプキンと呼んでいるようです。

英語ではカボチャのことを総称して「スクワッシュ(Squash)」といい、西洋カボチャは「ウインター・スクワッシュ」、日本カボチャは「トロピカル・スクワッシュ」などと呼ぶことが多いようです。ペポカボチャは「サマー・スクワッシュ」といい、その一部をパンプキンと言うらしいのです。
つまり、パンプキンとはカボチャの中のごく一部のものを指しています。

※ちなみにハロウィンになると、必ず飾られるカボチャのお化け。中にキャンドルで火を灯してランプのように使いますが、実はこのカボチャのお化けにはちゃんとした名前があります。その名も「ジャック・オー・ランタン」。直訳すると、ランタン(吊り下げ式のランプ)を持っているジャック、という意味になり、このジャック・オー・ランタンにはこんな逸話があります。
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 その昔、ジャックという堕落した人生を送っていた男が、ハロウィンの夜に悪魔に魂を取られそうになった時、悪魔を嘘で騙して自分の魂を取らないようにと約束をさせました。
 それから時が流れ、ジャックは年老いて亡くなったのですが、生前悪いことばかりをしてきたジャックは天国に行くことができず、地獄へと向かいます。しかし、地獄の門の前には昔騙したあの悪魔が立っており、「お前の魂を奪わないと約束したではないか」と、追い返されてしまうのです。

天国にも地獄にも行けないジャックが困り果てていると、悪魔は「元にいた場所に戻ればいい」と言い、暗い道中に灯りになる地獄の火種を分けてくれました。
そこで、ジャックは近くにあったカブをくり抜いて、その中に悪魔から貰った火種を置いてランタンにし、永遠にあの世とこの世を彷徨い歩くようになったと言われています。
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※右の写真のパンプキンはぺポカボチャの仲間です

 話を元に戻しましょう、日本で食べられているカボチャは西洋カボチャが多いと書きましたが、日本カボチャが全滅したと言う意味ではありません。今でも、少数の品種ですが栽培されており、高級料亭などでは季節の野菜として使われています。

 カボチャは(西洋カボチャ、日本カボチャ、ペポカボチャ)の3種類が有ると、書きましたが正しくは日本で生産されているカボチャはこの3種類と言う事です。そして、それぞれの特徴は、西洋カボチャは甘みが強く、粉質でほくほくした味わい、日本カボチャは甘みが少なく、柔らかく水っぽい肉質が特徴で、日本料理などで煮物にすると大変美味しくなります。最後にペポカボチャですが、淡白な味で、そうめんかぼちゃ、ズッキーニ、スキャロープなど、形がユニークなものが多いようですね。

 ところで、江戸の昔から、冬至の日にカボチャを食べると、かぜや中風にかからないとか、福がくるなどといわれてきました。カボチャの収穫は夏ですが、貯蔵がよくききます。先人は太陽の恵みをたっぷり受けて完熟したカボチャを冬至まで保存して、緑黄色野菜の少ない冬場に備えたのですね。カボチャには、粘膜や皮膚の抵抗力を強くするカロテンが多く含まれているのを、経験で知っていたのでしょう。

 ああ、それからカボチャは種まで食べられるのですが知っていましたか?
ただ、一般的なカボチャの種は硬い殻で覆われており、殻を剥くのが大変なんですね。そのため日本では種の調理方法を記したものは、あまり見かけません。
でも、最新の研究で種を簡単に取り出せるカボチャの開発に北海道農業研究センターが成功したようです。
種子がおいしく手軽に食べられるカボチャの新品種、ストライプペポと名付けられました。

 これで、パンプキンを飾り、ペポのタネをつまみ、甘いスクワッシュの料理を楽しむことが出来そうですね。