コノシロ ひと時の休息に「エッセイ」をご用意致しました。


コノシロ
 コノシロは光物の代表として江戸前寿司にはなくてはならない存在です。特に小さなシンコはさばくにも酢締め具合にも熟練した技術が求められる腕の見せ所となっています。
そして、旬の季節感を感じさせてくれる鮨ネタですね。

ところで、呼び名が変わるものを出世魚と言いますが、コノシロの場合、成長するにつれて価値が下がってしまいます。これは、江戸前鮨のネタとして小さいほうが好まれ、成長し小骨が気になるコノシロは一般受けしないためです。
コノシロは白身で旨みが多い魚ですが、非常に小骨が多いのが欠点です。地方によっては瀬戸内周辺の「ツナシ」、佐賀県の「ハビロ」などとも呼ばれています。
万葉集の中で大伴家持の歌に
『・・・・・つなし捕とる 氷見ひみの江え過ぎて 多?たこの島 ・・・』と出てきます。
現在でも瀬戸内周辺ではツナシとも呼ばれています。  
 「コノシロ」と呼ばれるようになったのは、戦国時代だといわれています。
当時「飯」の事を「コオ」や「コ」と言っていたそうで、沢山穫れたこの魚を「飯の代わりにする魚」という意味で「飯代(こおのしろ/このしろ)」と呼ばれるようになったという説があります。
その他にも、焼くと人を焼いたような匂いがすることを利用し、訳あって娘が死んだことにし、身代わりにこの魚を棺桶に詰めて焼いたので、「子の代」と呼ぶようになったという伝説もあります。

ところで、コノシロは大きさにより呼び方が変わってきます。
シンコ・・・その年に孵化した幼魚5〜8cmくらいまでのもの。
コハダ・・・8〜10cm位のもの。
ナカズミ・・・11〜15cm
コノシロ・・・16cm以上

コノシロは寿命は3年程とされ、成長すると3年で20〜25cmになり、体形は側扁し縦に薄い木の葉のようなかたちをしています。
背ビレの後端は糸のように長くなっているのも特徴です。
主な産地は瀬戸内周辺や伊勢湾、三河湾、駿河湾、有明海などが主な産地となっています。

予断ですが、コノシロと良く似た魚にママカリ・サッパなどと呼ばれるものがあります。
コノシロもママカリも同じニシン目ニシン科の仲間で素人目には判断できないほどです。

西日本ではママカリと呼ばれることが多く、関東ではサッパと呼ばれています。意外に食用にする地域は少なく、関東では獲れても雑魚。しかし岡山県では酢漬けや塩焼きにして食べられる郷土料理なのだそうです。