ミラクルフルーツ ひと時の休息に「エッセイ」をご用意致しました。


ミラクルフルーツの実
 貴方は酸っぱいレモンはお好きですか?
適度に酸味の効いたレモンなら好きな人も多いと思いますが、さすがに酸っぱいだけのレモンは苦手な方が多いのではないでしょうか。

でも、ご安心ください。酸っぱいレモンなどを食べても甘く感じてしまう不思議な果物があります。其の名は「ミラクルフルーツ」聞いた事ありませんか?

ミラクルフルーツは常緑樹で、コーヒー豆ほどの大きさの小さな赤い果実を実らせます。現地では6m以上にもなりますが、日本などで栽培されたものは多くの場合1.5m程度の低木です。
花は白く、何ヶ月もの期間にわたり開花します。果実は年に2回程度、収穫可能です。

ミラクルフルーツ は熱帯地域に育つ植物です。栽培適温は20℃〜35℃で日本では2〜4メートルの低木で小さな赤い実がなります。花は米粒大くらいの小さな白い花で、かすかに甘い香りがします。  

ミラクルフルーツの実を食べてからレモンなどすっぱい物を食べると甘く感じさせる特性があります。原産地域等では昔からすっぱい物を食べる際にこのミラクルフルーツを利用してきました。

この不思議な作用は、果実に含まれる「ミラクリン」と言う糖たんぱく質が、酸味を感じた際に舌の甘味受容体を刺激するため酸味が甘く感じられると言うものです。このことは横浜国立大教授の故栗原良枝氏が研究し、初めてミラクリンと言う糖たんぱく質がその働きをしている事を発見しました。
ちなみに舌を麻痺させたり、酸味を感じさせなくするわけではありません。

そもそも味覚とは鍵と鍵穴の関係のようなものです。
そのためには、まず味覚の原理について知ることが大切です。味には、甘味、塩味、苦味、酸味などがあります、舌にあるそれぞれの味覚ごとの「味蕾(みらい)」という部分で感じています。甘味という鍵は甘味の鍵穴(味蕾)、酸味という鍵は酸味の鍵穴(味蕾)にぴったり入った時にその味を感じるという仕組みです。

そしてミラクリンは、人の舌の甘味を感じる部分にくっつき、酸味成分を甘味を感じる部分で受け止めてしまいます。
すると、人の脳は、甘味を感じる部分が刺激されているので、「甘い」と感じてしまうのです。(下図を参考に)

 個人差はありますが、ミラクルフルーツを食べてから30分〜2時間程度はその効果が続くと言われています。
でも、ミラクルフルーツの「ミラクリン」が舌に付着している時間だけ効果が得られるため、その間に飲み物や食べ物を摂った場合は徐々に効果が弱くなっていきます。また熱に弱いため、熱い飲み物を飲むと早く効果がなくなります。

さて、貴方もミラクルフルーツの不思議を体験してみませんか。
食べ方は、ミラクルフルーツの赤い皮を剥き、果肉を口に含みます。そして1分程度舌の上で転がします。次に酸っぱいものを食べます。レモン、グレープフルーツ、キウイ、トマト、梅など酸味が強いものが適しています。プレーンヨーグルトにレモンを搾るのも良いでしょう。